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yuki's DIARY
2005/11/2  楽に行こう



この仕事をしていると、サイズの相談だけではなくていろんな話をお聞きすることが多い。
その中でも多いのは妊娠中の不安、悩み、不満などで、服とは関係ない話だったりする。

もちろんファッションの話も当然するし、楽しいのだけれど、
こんな、服とは関係ない話が実は大歓迎だったりする。 そう、お客様と色んな話が出来るのがすごく嬉しいのだ。

二度目、三度目の妊娠の方ならば上にお子さんがいるわけで、
妊娠によって上の子が不安定になったり、ちょうどややこしい成長過程の時期だったり、
性別や名づけなどで周りがざわついてたり、もう色々起こる。

さらに初めての妊娠となると、もう不安だらけ、わかんないことだらけで当然。

母は子を産む前からもうすでに"強い母"にならざるを得ない状況になる。

うちの下のチビさんは体はおっきいけれど、成長はいたってゆっくりだった。 例えば言葉。

赤ちゃんが産まれると、なんだかんだと保健所(市役所?←よくわかってない・・・)などからお知らせが来る。
いついつが三ヶ月健診です、来て下さい、とか。

仕事に明け暮れる私でも、一応そういうのは連れて行くわけで、
チビが一歳半の頃にも「一歳半健診」というヤツに連れて行った。

一歳半健診の会場は地域の保健所で、 建物の二階。 時間ギリギリに着くと、
もうたくさんの一歳半の子供たちが集まっていた。

もう保育園に行きだしていたうちのチビは 毎日たくさんのお友だちに遭遇しているので あまり驚いてはいなかったけれど、
やっぱりいつもと違う場所、いつもと違う雰囲気、見たことのない面々に 少々緊張気味。

ただ、保育園では一人っきりだけど、今日はママがずっといる。 きっとそれで安心していたのだろう。
怖がって泣いたりは全くなかった。

しかし、中にはもうこの雰囲気だけで泣き出しちゃう子もいれば、
そこらへんのいろんな機械やら本やらを触りまくってる子もいるし、
会場内はもう雑然というか、騒然というか、めちゃくちゃに近い。笑

しばらくするとチビは緊張もほぐれてきたのか 他の子にまぎれて悪さもし始めた。止めなくては・・・!

しかし、この日は身体測定の後、歯の診察もあったりして、 出来るだけ機嫌よくしてて欲しいところなので
こんな入り口付近で機嫌を損ねては後が思いやられる。
そう、私の話をちゃんと聞いて、 どこへ行ってもおとなしくしててくれたお兄ちゃんとは違い、
チビはいったん暴れだすと私でも止められない。

しかし、野放しにしておくわけにもいかないので、 とにかくずっと後をついて、
いたずらしようとしたら 何か他のものに注意を向けたりして
(壁に貼ってあるアンパンマンの絵を見せたりする。 この時はかなり芝居がかった声で大げさに
「あっ!ほら見て!こんなところにアンパンマンがあー! あっ!あっちにはバイキンマンがいるよおー!!」と言って、注意を向ける。
さも自分が楽しいくらいに言わないと、 目の前の触っちゃいけないもののほうに突き進む。涙)
抱いたり降ろしたり、うろうろしながら順番を待った。(←この時点でもうかなりの疲労)

たまに失敗してとなりの部屋の入り口(まだ呼ばれてないので入ってはいけない)に貼ってある
メロンパンナなんぞに気づかれたら最後、 「あっちいくぅ〜!!泣」と余計に暴れさせることになるので注意が必要。

そんなことをしているとそのうちに名前が呼ばれる。 椅子に座って具体的に話を聞かれる。
例えば、育児していて辛いとかはないですか?とか、 近くに育児に協力してくれる人はいますか?とか。

んで、子供の発達についてもテストされる。 テストといっても簡単なもので、 目の前にある、机の上の積み木を上手に積めるかとか、
絵の描いてあるボードを見せられて「ワンワンはどれ?」とか聞かれたりとか、 いたってラフで簡単なもの。

あと、喋れる言葉がどれだけあるか、も聞かれる。 実はチビはこの時、たったみっつの言葉しかまだ喋れなかったのだ。
「ママ」「ワンワン」「にゃんにゃん」 そう、これだけ。

「ママ」は、もちろん私のことだが、 ご飯の意味の「マンマ」にも使う。
で、「パパ」、「にいにい」も発音できないため、 この頃チビは勝手に家族全員のことを「ママ」と呼んでいた。笑

パパを呼ぶときも「ママー!」お兄ちゃんを呼ぶときも「ママー!」
とにかく家族はみんな「ママ」なのだ。
(そのたびにパパは「ママじゃないよ、パパだよ。」、 お兄ちゃんは「ママちゃうやん、にいにい!やろ?」と言う。)

しかし、保健所の人は厳しい顔をして 「みっつだけ?他はないですか?本当に?」と言って、
私が「ないですねー。」と言うと、 「ちょっとこの時期にしては少なすぎますねえ・・・。」とかなり難しい表情になった。

私は、チビが発音が苦手なだけで(舌が短いのかも)、 いろんな言葉は理解していることはわかっていた。

「トーマスはどれー?」と、たくさんの機関車の絵が描いてあるものを見せると ちゃんとトーマスを選んで指を差すし、
人よりは遅いかもしれないけど、そのうち上手に喋りだすだろうな、と思っていた。

それこそ喋りだすと 「まだ喋れなかった頃が懐かしいよ〜。もうホントうるさくてさー。」って思うくらいになるだろうって。

でも、担当の人があまりに深刻な顔をして
「やっぱり少なすぎますね。キャラクターとかもちゃんと認識できますかねー?」
なんて、言い出すので 逆に腹が立ってきた。(←怒りっぽいなあ・・・。)

『この子はいろんなことちゃんとわかってるし、そのうちにちゃんと一杯喋るようになりますっ!!
今はまだ発音がむつかしくて出来ないだけです。発音が苦手なだけなんですっ!』 と、心の中で叫び、
「うーん、少ないんですかあ。 わかってるのは色々わかってるみたいですから心配ないと思ってるんですけどねー。」と
ケンカする元気は持ち合わせていない私はそう言った。

「とにかく、あと数ヶ月様子見てもらって、それでもまだあまり言葉が増えないようなら またご相談お受けして色々一緒に考えますので、
三ヶ月くらいしたらご連絡いただけますか?」と言われてしまった。

私は「わかりました。」と返事をしたものの、
心の中では『あと三ヶ月もしたらもっと喋れるようになってるに決まってるじゃん!ご相談は結構ですっ!』
と 思いながら、次の身体測定の部屋へ向かった。

これ、私みたいな楽天的な考え(?)の人間じゃなくて、 とても繊細な神経のお母さんだったらショック受けたんじゃないかなあ、と思う。

私の場合、上の子もわりと言葉はゆっくりだったので (でも健診でこんなこと言われなかったからもうちょっと喋れてたんだろうけど)
チビを見てても不安に思ったことはなかったし、 色んなものに対してしっかり把握できてる感じが伝わってたから
逆に『何よっ!チビのことなんにもわかってないくせにっ!私は知ってるもん。チビは大丈夫だもん。』
と思えたけど(←というより怒ってる?)
これをきっかけにすごく心配になったり、 ムリに喋らせようとして頑張りすぎたり、
そんな風になるお母さんがいないとも限らないんじゃない・・・?って、ちょっと心配になった。


それから数ヶ月後、春になって一本の電話がかかってきた。
「保健所のものですけど、言葉のほうあれからどうですか?」 すっかり忘れてた。
電話しろって言われてたんだった。涙

「あ、もうだいぶ喋るようになりましたよー。 数え切れないくらいの単語を言えるようになってますので、心配ないです。」
と言って電話を切った。

いや、ホントにね、ちょうど三ヶ月くらいでものすごく言葉が増えたんです。 びっくりするくらい。

家族全員「ママ!」だったのに、 ある日「にいにいー。」と言えるようになり、 私とお兄ちゃんは「えっ?」と顔を見合わせて、
「ちょっと!今チビが『にいにい』って言ったよ!」と、もう大騒ぎ。

ずいぶん前、 「なあなあ、チビに名前で呼んで欲しい?
それともおにいちゃんて呼んで欲しい? "おにいちゃん"は難しいから"にいにい"がいいかなあ?」とお兄ちゃんに聞いたら
「"にいにい"て言うて欲しい。」と言ってたので、
チビが、言えなくても聞いて覚えるように いつも「にいにい、あれ取って〜!」とか言うようにしてたんだけど、
チビがちゃんといえるようになった時、 お兄ちゃんはものすごく嬉しかったみたいで
「チビ、もっかい言うてー。もっかい"にいにい"って言うてみー。」と、 何回も聞いて嫌がられておりました。笑

言葉がゆっくりなのも楽しいと思うよ。
お腹の中にチビを発見したときに、いきなり「お兄ちゃん」になり、
生まれてきて本当に「お兄ちゃん」になり、
チビ本人に「にいにい〜。」と言われて 今度は正真正銘の「お兄ちゃん」になったんだもんね。 おめでとう。

何度も「にいにい」と呼んでもらいな。 魔法の言葉みたいに嬉しくなるんだもんね。


そんなチビも今年の10月には初めての運動会。 家族総出で応援にいってきましたよ。

お兄ちゃんはOBだから、すっかり落ち着いてチビを応援しておりました。
チビは何がなんだかよくわからないまま、 しかし、しっかりと先頭バッターで競技に参加、ちゃんとクリアしておりました。

チビにとっては「みてみて〜。ボクのお兄ちゃんめちゃ大きいねん〜」と家族席の兄を見て安心し、
(それは年の離れた兄弟だから。 お兄ちゃんは標準体型で、大きいほうではありません。
そして、これは心の声で、まだそんなに喋れません。笑)
お兄ちゃんにとっては「俺の弟、頑張ってるねん。」と誇らしげにし、
そんな二人を見て、お互いに支えあいながら育ってくれたらなあ、と思う私でした。

もちろん、自分勝手な判断だけではなくて、
専門のお医者さんとかに相談しなくちゃいけないようなことにぶち当たることもあります。

しかし、そういう場合を除いて、 自分の目線で子供をしっかり見つめていれば、 周りが少々騒いだって、ほっておけばいんです。

神経質になって、子育てを頑張りすぎたりしてはいけないんじゃないかと思う。

仕事を続けることで保育園に預ける預けないで大変な思いをすることもあるし、 それで外野からとやかく言われることだってある。

私も二人の子を保育園に預けて仕事をしてきたけれど、 だれよりも私がうちの子供たちの理解者だと胸を張って言えるし、
他の働くお母さんにも、自信を持って胸を張って! と言ってあげたいくらい、みんな子供を大事にしていると思う。

妊娠中や産後に退職せざるをえなくなって家庭に入ったお母さんも 将来に不安を感じたり、
自分の生き方に疑問を持ってしまったり、色々ある。

家で子供とずっと向き合っているお母さんも、 自分の子育てに自信を持てない時もあれば、
一人で頑張りすぎたり、周りがややこしかったり、 近くに頼れる人間がいなかったり、辛い時もホントたくさんあると思う。


でも、みんな頑張り過ぎないで欲しい。
仕事するしないに関わらず、どんなお母さんも、もう十分頑張っていると言いたい。

子供は大事なポイントだけしっかり外さずに見てやれば、 自分の力で成長していく。 親はそのサポートをしてやるだけじゃないかって思う。

私たちがどうこうあがいたって、どうなるもんでもない。


それよりも、楽に行こう。

初めての言葉に感動したり、
朝、むくっと起き上がった瞬間に、たくさん寝て腫れあがった寝ぼけ眼で 「ママぁ〜。」とにっこりこっち向いて笑ったり。

そんな瞬間を見逃さず、たくさん目に焼き付けたいと思う。

「ママ」と呼ばれ続けたうちのダンナだが、 にいにいを言えるようになった頃、やっと「パパ」と呼んでもらえるようになった。

「ちょっと!今パパって呼んだで!」と言うと 「うん。聞いたよ。」と、ちょっと照れた顔して笑っていた。


初めての子じゃないのに、お兄ちゃんにもう何年も毎日パパと呼ばれてるのにさ、 そんなに喜ばんでもいいやん〜。うししし。


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